実施する際のポイントは?
知っておきたい!現場で活用できるテクニック
「自分でできることは自分でする」
自立支援は残存能力を活用して自立した生活ができるように必要なサポートをすることです。介護士がすべて介助しては意味がありません。例えば、左半身に麻痺のある利用者の着替えを介助するとします。介護士が介助した方が早いかもしれませんが、声をかけながら動く右手で服を脱いでもらったり、着せる服をもってもらったり、衣服を整えてもらったり、など利用者が自分でできることを行うように誘導しましょう。右手の機能が低下するのを防ぐだけでなく、介護を受ける側のストレスの軽減にもつながります。「自分でできることは自分でやってもらう」という意識でサポートすることが大切ですよ。
生きがいや役割を与える
利用者に生きがいや役割を与えるようなサポートも自立支援の1つです。例えば、おしぼりを丸める、洗濯物をたたむ、デイサービスの床にモップをかける、食器を拭く、といった軽作業を高齢者にお願いするとしましょう。単純作業ですが意欲的に取り組んでくれる人が意外と多く、中には「任されたから精一杯やる」と介護士が思っている以上に真剣に取り組んでいる人もいます。これは必要とされる喜びを感じることで生活意欲や自発性の向上につながるからなんですね。それに大人数で一緒に行うと自然とコミュニケーションが活発になり、社会活動にも参加しやすくなる、というメリットもあります。
目標の設定
自立支援や機能訓練そのものが目的化し、「何のために」「誰のために」という最も重要な概念が失われていることがあります。介護士は何のために自立支援をしているのか、利用者は何のために機能訓練をしているのかわからない状態になっている場合は早急に改善しなければなりませんよ。
何のために自立支援や機能訓練を行うのか、明確な目標を設定し、双方が共有することが大切です。「自立支援が大事だから」という単純な理由で取り組むのではなく、小さくてもいいので達成可能な目標やゴールを設定しましょう。例えば、「自宅でしなくなった家事を再開したい」「浴槽に自分で入れるようになりたい」「動く右手を使って1人で服を着たい」など1人ひとりが目標を設定し、自分から積極的に取り組めるようにサポートしてくださいね。
意欲を引き出すことが大切
自立支援は介護士が一方的に行うものではありません。利用者の意思を尊重し、自立への意欲を引き出すことが大切ですよ。身体機能の維持や向上に目がいきがちですが、心のケアも欠かせない大事なポイントです。利用者が「自分でやってみよう」と思えるようにサポートしていくことを意識してくださいね。介護士と利用者、双方が共通の認識をもって協力して取り組んでいきましょう。