必要とされる4つのケア
4つのケアについて詳しく解説
水分ケア
水分摂取は高齢者ケアの重要なポイントです。体内の水分のほとんどは筋肉に含まれています。筋肉量が少ない高齢者は体内の水分量も少なめですが、水分が不足すると身体の活動量や意識の覚醒水準が低下してしまいます。脱水症状を引き起こしたり、失禁や認知症の原因になるので、高齢者は小まめに水分を摂取しなければなりません。1日に必要な水分量は1,500mlとされていますが、高齢者は感覚機能が衰え喉の渇きを自覚しにくいので、意識して水分摂取を促すことが大切ですよ。
十分な量を摂取するのが難しい場合は、おやつにゼリーを提供したり、お茶や水にこだわらず好きな飲み物を飲んでもらったりするといいでしょう。
食事ケア
栄養が不足すると動くエネルギーや体力がなくなります。寝たきりや認知症を引き起こす原因になるため、食事ケアでは健康な人と同じ普通食で、1日1,500kcal以上の栄養を摂取することが推奨されています。
高齢者の食事というと、あまり噛む力を必要としない、やわらかくきめ細かい形状のものを思い浮かべる人も多いことでしょう。しかし、そのような食事は咀嚼による刺激がないため口腔機能が低下してしまうんです。誤嚥性肺炎や嚥下機能障害にもつながるため、噛める食事を提供するようにしてくださいね。
また、口を大きく動かしたり、声を出したりする口腔体操も口腔機能の改善に役立ちます。嚥下機能の維持にも効果的なので食前に取り入れるといいですよ。
運動ケア
運動は自立した生活に欠かせない要素です。筋力維持や食欲増進に効果があり、認知症予防や失禁予防も期待できます。特に歩くことは全身の筋肉を使い、脳にも刺激を与えます。意識の覚醒水準を上げ認知機能にもよい影響をもたらすので、休憩をはさみながら1日2kmを目標に歩くことを促しましょう。ただ散歩するだけでも構いませんが、レクリエーションの一環として楽しみながら歩いたり、近所のスーパーに買い物に行ったりするのもおすすめですよ。
日常の些細な行動も積み重なればある程度の運動量になります。「自分でできることは自分でする」という意識を促すことで自然と生活習慣のリハビリにつながりますよ。運動不足も解消できるでしょう。
排便ケア
腸の調子がいいと分泌されるセロトニンは、認知症予防に効果があるといわれています。排便ケアでは、3日以内の自然排便を目指しましょう。自然排便のリズムを作るためには水分を十分に摂り、オリゴ糖や乳酸菌を摂取することが効果的ですが、水分、食事、運動の3つのケアが十分に行われていれば、自然と排便のリズムもできてきますよ。
便秘に悩む高齢者は多いんですが、水分摂取を見直すだけで解消したケースもあります。4日以上排便がないからといってすぐに下剤を使用するのではなく、水分摂取や食事、運動を見直すなどして自然排便を促しましょう。